女優・池田エライザの挑戦「物語の中で生きている感覚でした」

事故や事件などのあった「ワケあり物件」、できることなら住みたくないですよね? そういう部屋は1度誰かが住んだら、過去の履歴を帳消しにできます。そのために「ワケアリ物件」を転々とする仕事があるという都市伝説があるんです。『ルームロンダリング』はそんな、秘密の仕事をする孤独な少女、八雲御子が、引越し先で様々な幽霊と出会い、彼らの生前の望みを叶え、自身も成長していくというコミカルなハートウォーミングストーリー。今日は主演の池田エライザさんに映画のことはもちろん、美容の秘密についてもうかがってきました♡

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目次

プレッシャーが大好きなので、この役をやってみたいと思いました!

ARINE編集部

主演は人気モデルであり、『となりの怪物くん』など、近年は女優としても活躍している池田エライザさん。御子の叔父の悟郎を演じるオダギリジョーさんを筆頭に、光宗薫さん、渋川清彦さんらが個性的な幽霊を好演。御子のお隣さんを演じる健太郎さんの、メガネ男子ぶりも見逃せません。幽霊といってもホラー映画ではなく、笑えて少しせつなくなるストーリーなので、観る人の気持ちを暖かくすること間違いなしなんです。エライザさんの映画に懸ける思いとは?

ーー『ルームロンダリング』、これまでの池田さんのイメージとはちょっと違った、陰のある役が新鮮でした!

池田エライザ(以下・エライザ):嬉しいです。

ーー両親をなくした少女という難しい役柄です。

エライザ:『ルームロンダリング』の脚本をいただいた頃に、母の実家に帰っていたんです。久々に家族と会って思うこともありましたね。この映画は家族が大きなテーマになっていますが、家族の悩みってどの家庭にもあると思うんです。主人公の御子は、幼い頃に両親がいなくなってしまったという設定で、もちろん体験したことのない難しい役柄なんですが、これまで自分が見聞きしたもの、読んできた本など、そういう積み重ねで想像して、それをおぎなっていかなくてはならない。そんなプレッシャーがありました。でもプレッシャー大好きなんですよね(笑)。なので、迷わずこの作品がやりたいなと思いました。

ARINE編集部

ーー役作りについて意識したことは?

エライザ:現場に入る前まではまったく想像つきませんでした。普通に「幽霊は怖いな」と漠然と思っていましたし。光宗(薫)さん演じる悠希や、渋川(清彦)さん演じる公比古という幽霊が目の前に現れるじゃないですか。

ーー「怖い」というよりは、とてもチャーミングな幽霊たちですよね。

エライザ:皆思い思いにチャーミングな幽霊を演じてくださったので、「霊が見えるからどうのこうの」というよりは、亡くなってもなお、それぞれに願いや想いがあって、人間らしいところもあるんですけど、ふとした瞬間に「この人はもう生きていないんだな」と感じるシーンがある。

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ーーそういうシーンもコミカルに描かれていますけど、切ないですよね。

エライザ:そういったおばけだからこその、切ない部分がある。だから私はこの作品を通して、「おばけ怖い!」って簡単に言えなくなったというか、おばけや幽霊と呼ばれる者たちも、そもそも人として生まれてきた存在なんだなと考えるようになりました。

ーーちなみに霊感はありますか?

エライザ:無いと信じたいんですけどね……。でも家族がよく「(霊を)見た」っていうので、「(霊感が)開花しませんように!」って思っています(笑)。

もしも、幽霊が話したいことがあって、私を選んだのであれば、それは邪険に扱っちゃいけないなとは思うけど、「そういうことを考えてる人に取り憑くんだよ」と言われています。それはよくないな……。悩みどころです(苦笑)。

ルームロンダリング制作委員会

自分が動かなくても、世の中は勝手に進んでいくけれど…

ARINE編集部

ーー主人公・御子と自身との共通点はありますか?

エライザ:「イメージと違う」と言われることに、日々びっくりしています。御子の私生活は近いところがあると思います。

ーーそうなんですか。

エライザ:御子は自分が動かなくても、世の中は勝手に進んでいくし、生い立ちのこともあって、考えると苦しいから、考えることから目をそむけているところから、物語はスタートするんです。自分はお仕事と向き合ったりしていますが、それ以外の部分は似ているかもしれません。
お休みの日はお家でレトルト食べたり、お風呂のなかで本を読んだり、そういう普通の日常をのらりくらり過ごしています。全然自分と離れていなくて。リアルと近いところがあります。

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ーーすんなり役柄に入れたと。

エライザ:御子は、誰ともコミュニケーションをとれなくて苦しんでいるというよりは、
コミュニケーションをとれないならそれでいいし、自分の好きなようにしてるし、叔父の悟郎さんに対して不満はあるけど、逆にわがままを言える、甘えられる人がいるってことだから。悲劇的に苦しんで生きていないからこそリアルだと思うんですよね。

ーー御子というキャラクターはセリフも少ないので、表現力も問われますよね。

エライザ:説明的なセリフが無いんですよね。不満や怒りをブツブツ独り言のようにつぶやいていることはあるけど、普通に考えて口に出して言わないことはセリフにないんです。

この映画は御子が新しいものに触れて、新しい感情を知って、0.5歩だけ前に進む話というか。周りの人たちがいろんな台風を巻き起こすので、それをアワアワしながら、でも自分の知らない感情も出てくるので、それに戸惑いながら、人間らしくなっていくという。

演じていく過程は私自身楽しかったです。映画を観る人に「あるあるだな」って思ってほしかったので、なるべく現実に近いところで葛藤をしたというか、「映画の中のエンタメ」としてというよりは、与えられた環境で目一杯生きるというような表現にこだわっていました。

いつもどおりの自分で演じたからこそ、出せたリアリティー

ARINE編集部

ーー監督から言われて印象的な言葉はありますか?

エライザ:「いつもどおり」とは言われましたね。普段役でやっているような派手なキャラを演じるんじゃなくて、エライザが持っているスローペースな変化とか、芝居も遅い部分も「そのままでいいよ、無理に早くしようとしなくていい、ゆっくり影響されていけばいいんじゃない?」と。

ーーなるほど。

エライザ:監督とは話し合って演技のすり合わせはしました。「ここまで撮ってきたけど、このセリフはこれで良いのだろうか?」とか「どうやったら一緒に気持ちを寄せてくれるんだろうか」とか、そういうことを考えてやっていました。

ルームロンダリング制作委員会

ーー映画全編通して目が印象的でした。トロンとしていて陰のある目です。

エライザ:『ルームロンダリング』漫画版を描いてらっしゃる漫画家の羽生生純先生は「(目が)ドロっとしてる」って言ってました。「トロンとしていて陰のある」ってつまり「ドロってしてる」ってことですよね(笑)。もちろんもとの目もあると思うんですが、照明部の方々が、閉鎖的な環境の中での、「自然な光」を生み出してくださったのでこういう雰囲気の目になったのだと思います。録音部の方も、小声でも細かい息も逃さずに撮ってくださったからこそ、御子がボソボソ喋っていることも、気持ちが乗っているように感じられます。いろんな方が全力で御子を捉えて、いろんな工夫をしてくれました。皆「神様」です。

ーースタッフの皆さんの技術やこだわりも感じられた現場。

エライザ:皆さんの愛情をすごく感じました。衣装も御子っぽいし。この衣装、悟郎さんと並んで色味が合うように、衣装部の方が古着を染め直してくださって、一発OKだったんですよ。そういったところも観て欲しいですね。

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ーー部屋の内装もかわいいですよね。

エライザ:そうなんですよ! うちの心平ちゃんが! ……いえ、お会いしたことはないんですけど、美術部の井上心平さんが様々なアイデアを出してくださって、例えば、カーテンを布であわせるとか、そういう細かい工夫をされていて。初めてお部屋を見たときに震えました! 「ここが御子の部屋だ!」って(笑)。この小さいちゃぶ台に御子が絵を描いている風景が目に浮かんだんです。

ーーひとつひとつのアイテムがかわいいですね。カバンもかわいいですし。

エライザ:カバンや小物もすごく御子のイメージに合うようにこだわっています。私、ポスターも大好きで、パンフレットもかわいいし、どこをとってもかわいい作品なんです。監督がもともと持っているかわいらしい世界観、サウンドもあいまって、統一された世界観がかわいいポイントで、ハートフルな映画であるということを怠っていないんです。

キャストやスタッフの皆さんがこの作品にかけてくださるパワーを浴びました

ARINE編集部

ーー御子の成長物語とおっしゃっていましたが、実際に共演する中で映画を通じて成長できたなって感じたことがあれば教えてください。

エライザ:そうですね、皆さん脚本をたくさん読んで現場に来てくださって。渋川さんに関しては、難しい方言のあるシーンもあったのですが、それを自分に染めるまで何度もやっていて、私なんてセリフが少ないから、申し訳なくて(笑)。
光宗さんも撮影で脚がアザだらけになっていたんですけど、「こっちの方がリアルだから」って言って……。
健太郎くんも、女性から人気があるのに……、なかなか観られない姿を(笑)。シャツとか半分出てるし。オダギリさんにせよ、それぞれが『ルームロンダリング』の世界に飛び込んで、そこに生きている人としていてくれたことが、すごく幸せですし、感謝してもしきれないなと思いました。
皆さんがこの作品にかけてくださるパワーをいろんな形で浴びました。

ルームロンダリング制作委員会

ーーこの世界を愛していることが伝わってきます。

エライザ:主演をさせて頂いている、というのもあるんですけど、主演だからこそ、皆が現場に持ってきてくださる熱意をみて、「もっともっとしっかりしなきゃな」とか思ったりして、自分の未熟さに焦ったりもしましたけど、誠心誠意やれたのかなと。

ーー座長ですもんね。

エライザ:いえいえ! だいぶパイセンたちにお世話になりました(笑)。

ーーちなみに、この映画のタイトルにちなんだ質問なのですが、ロンダリング、自分の履歴を帳消ししたいと思ったことはありますか?

エライザ:自撮り! 世の中に有る自分の自撮りは全部消したいですね(笑)。

ーーそれはどうして?

エライザ:人っていろんな時期があるじゃないですか。つまりそういうことです。……JKだったんで! ティーンモデルだったんで、自撮りの練習をしていて、SNSに自撮りがずっと残っていて……。もう22才なんで勘弁してください〜〜(顔を覆う)!

そのかわいさの秘密を教えて♡

ARINE編集部

ーーなるほど、ありがとうございます。「ARINE」は美容サイトなので、メイクのお話も伺いたいです。今日のメイクのポイントはありますか?

エライザ:今日は、アイライナーはひいていないです。アイメイクはあまりしないんですよね、まゆげもそのままです。

ーーご自身でメイクされるときも?

エライザ:やらないです。

ーーでは今日はマスカラだけ?

エライザ:はい、ファンデーションと、あとはリップは服の色と合わせています。
リップを強調させたいときは、目元はペンシルだけとか、アイシャドウだけがっと塗るとか。臨機応変、引き算が多いですね。

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ーー素材を活かしたメイクということでしょうか。

エライザ:皆が皆、もりもりにメイクすればかわいいってわけじゃなくて、自分の中で大きいパーツとか、小さいパーツを活かす方法もあるはず。私は目が大きすぎて、メイクを濃くすると怖くなっちゃうから、あんまり目が目立たないように、アイラインをガッツリ塗ることは少ないです。
顔色を良くするだとか、人が見て好印象、ハッピーになるような、色味を使うとかは意識しています。

ーー人から見たときのメイクということを意識されている?

エライザ:よくリネンや麻の素材を着ることが多いんですけど、そういうときはチーク以外は何もしないようにしています。そういう「っぽい」女子になるのを楽しむというか、コンサバな日はドライに、髪にワックスつけたりとか。モードっぽい日はウェットにしたりとか。「それっぽい」のを楽しんでいます。

ーースキンケアは?

エライザ:そんなにこだわってないです。肌が荒れたら皮膚科に行く、それだけですね。

ーースタイル維持に関してはいかがですか?とっても細いですが!

エライザ:いえいえ、細いといっても、50kgはありますよー!それに足が太いんです!(笑)あと、人間ドッグで「やせ気味」と言われるのも嫌で……Dとかつけられてしまうと、Aがいい!って思うので、そんなにやせすぎないようにしているんです。

ーーなるほど(笑)健康とのバランスは大事ですよね!今日はありがとうございました!

(撮影/杉映貴子)

『ルームロンダリング』7月7日より全国ロードショー!

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