中川大志が語る新たな境地「今までにない自分を残せた」
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金髪のドラマーの男の子に憧れていたんです
中川大志さん演じる千太郎は、校内中で一目置かれている不良少年。しかし実際は快活な性格で、都会から越してきたばかりの主人公・薫(知念侑李)とジャズを通して絆を深めることになります。薫はピアノを、千太郎はドラムを劇中で実際に役者さんたちが演奏する数々のセッションシーンは本作の大きな見どころのひとつ。
音楽が大好きで、かねてから音楽に関わる役をやってみたかったという中川さんは、千太郎役について熱く語ってくれました!
ーー千太郎役はこれまでにない役柄ですね。
中川大志(以下・中川):一番最初にこのお話をいただいたときに、マネージャーさんから『ドラムやったことある?』と聞かれたんです。過去に趣味で1、2年習っていたことがあるんですが、それも映画『スクール・オブ・ロック』(04年公開の映画)に出てくるやんちゃな金髪のドラマーの男の子がすごくかっこよくて憧れたことがきっかけなんです。
ーーやんちゃな金髪ドラマーは今回の役とも重なる部分がありますね!
中川:映画化の話が来てから10ヶ月くらいドラムの練習をしていましたが、まったく苦じゃなかったです。やればやるほどテンションが上がって「早く撮りたいな」と思いながらずっと練習していました。音楽も演技もそうですが、やっている側の人たちが1番楽しんでいないと、お客さんに伝わってしまうと思うんです。
ーー気合十分で役に取り組めたという雰囲気がお話から伝わってきます。昭和の佐世保の不良少年という自分自身とは遠い役柄に不安はなかったのでしょうか?
中川:原作を読ませていただいて、自分が挑戦したことがないような役どころで、最初はイメージがなかなか湧きませんでした。でも自分と違うキャラクターを演じるのはすごく楽しいんです。僕にとってはチャレンジだったし、そういう意味でも嬉しかったです。
ーー2012年に放映されたアニメ『坂道のアポロン』もご覧になられたと伺いました。原作モノの実写作品はアニメ化されていることも多いですが、普段からアニメも参考にするのでしょうか?
中川:これまでは自分で役を演じる前に、アニメ化された作品は見ないようにしていたんです。もちろん原作は読みますが、アニメの演技に囚われ過ぎちゃうといけないと思って。今回は自分に無いものが多いキャラクターなので、千太郎のドラムの演奏はとくにアニメのイメージを参考にさせていただきました。ドラムの練習中もずっとそれをイメージしてやっていましたね。
ーーなるほど。他に役作りで意識したことはありますか?
中川:監督から『身体をもっと大きくしてほしい』とアドバイスされたので、ジムに通って体重も増やしました。原作を読んで、アニメも観て、千太郎というキャラクターが自分の中ですごく大きくなっていって、自分でも大好きなキャラクターになりましたね。
これは原作モノの難しいところだと思うんですけど、僕が客観的に千太郎というキャラクターを外側からなぞっていく、モノマネみたいになっていくのが嫌だったんですよ。すでに千太郎というキャラクターが出来上がりすぎていている中でそれをどう自分に入れ込むかという作業が課題としてありました。僕自身と近いキャラクターではないからこそ難しかったですね。
知念くんが見せた涙に初めて「気が張っていたんだな」と気づきました
ーー実際に撮影に入ってからはどうでしたか。
中川:知念くんと最初に2人でセッションしたときに、いつもと同じドラムセットなのに感覚が全然違っていて、何か降りてきた感覚があったんです。この感覚は忘れちゃいけない、これを現場に持っていかなくてはと思いました。
ーー知念さんとは2度目の共演となりますね。
中川:撮影が終わってから聞いた話なんですが、知念くんは初めての単独主演で不安だったと言ってたんです。でも現場では、そういう不安や弱音を全く見せない人なんですよね。
座長として、現場のムードメーカー役をこなしながら、背中で語るタイプでもあるので、その一生懸命さにスタッフ・キャストは感化された部分もあると思います。皆が安心してついていける人です。
でもそんな知念くんが、クランクアップしたときに泣いていたんです。そこで初めて、相当気を張っていたんだなと思いました。この作品では、本当に知念くんからたくさん刺激をもらいました。
自分が知らない自分を残せたな、と思いました
ーー1ヶ月半の長崎県佐世保市での長期ロケとのことですが、思い出のエピソードはありますか?
中川:海が近いということもあってお魚も美味しいし、ご飯は本当に毎日幸せでしたね(笑)夕方くらいになると携帯で「今日はどこに行こうか?」とお店を調べだして(笑)、毎晩のようにスタッフやキャストたちでご飯に行って、『今日のシーンはこうだったね、明日はこうだね』と話をして、本当の家族みたいな感じでした。
それに、僕は釣りが好きなので、『釣りをやりたいです』と周囲にずっと話していたら、地元の観光協会の方が釣りに詳しい方を紹介してくださって。道具も貸してくださって、監督や(小松)菜奈ちゃんたちと一緒に釣りをしました。九州で釣りをする機会もなかなかないので、撮影が休みの日に行っていたら、プロデューサーさんからは「ドラムの練習もしなさい!」と叱られました(笑)
ーー楽しそうな現場の雰囲気が伝わってきます。千太郎という役はターニングポイントになったのではないでしょうか。これからやってみたい役柄についても聞かせて下さい。
中川:完成した映画を観た時、自分が知らない自分、自分じゃないものを残せたなという感覚がすごくあって。自分自身でもそういう作品をもっと見てみたいと思ったんです。もちろんお客さんに観ていただくことがゴールなんですが、今回の映画では「自分で自分の知らない自分を観た」という感覚があります。
そういうものを残していけたらと思いますし、役者という仕事は正解のない仕事というか、いくらでも答えのある仕事ですよね。色々な可能性があるんだなと思ったときに、今後がすごく楽しみになりました。もっと色々な役を演じていきたいです。
キュンとくる女性の仕草は?
ーーちなみに、作中で千太郎に想いを寄せているヒロイン、律子はすごく魅力的な女性です。中川さんご自身の好みの女性のタイプは……?
中川:あはは! 不器用だけど、こんなに真っ直ぐで一途に思ってくれる女の子、中々今の時代にはいないですよね。タイプかどうかはわからないけど(笑)、律子は本当に「こんなヒロインが自分の青春時代にいてくれたらな」と思うヒロイン。僕だけじゃなくて皆がそう思うような女性ですよね。
ーーちなみに、キュンとくる女性の仕草や行動があれば教えてください!
中川:「ちょっと頼られる」感じが嬉しいかもしれないですね。例えば、女の子の身長では届かないような場所にあるものを「ちょっとこれ取って」とか、そういうさりげない「お願い」をされる距離感にキュンとくるかも。
ーー頼んでいいんですね(笑)
中川:頼んでください(笑)!
ーー(笑)最後に、ARINE読者へメッセージをお願いします!
中川:この作品は大切な人との出会いで変わっていく物語でもあるので、今高校生の人も、昔高校生だった人にも観てほしいし、それぞれ感じてもらえるものがあると思うので、色々な世代の幅広い方々へ届けたいと思っています!
中川さんの新たな魅力を感じることが出来る映画『坂道のアポロン』、現在大ヒット公開中です!
(撮影/杉映貴子)